外貨預金の期末換算の方法(法人編)
- ホーム>
- 外貨預金の期末換算の方法(法人編)
外貨預金の期末換算の方法(法人編)
2021年に入り円安ドル高が徐々に進み、2022年に入ってから一挙に加速して、10月には1998 年以来の1ドル145円台となりました。このような円安ドル高の今だからこそ、特に注意したいのが、外貨預金です。
外貨預金とは
外貨預金とは金融機関などに、日本円以外の米ドルやユーロなどの外国通貨(以下、外貨) で預け入れられている預金のことをいいます。 外貨預金には、外貨普通預金や外貨定期預金などの種類があります。
法人は期末換算時に注意
法人が外貨預金を保有している場合に注意するのは、事業年度終了のとき(以下、期末時)の円換算です。
(1) 原則
法人が期末時に外貨預金を保有している場合には、次のいずれかの方法により期末に 円換算します。
期末換算方法 | 特徴 |
---|---|
発生時換算法 |
外貨預金を取得等したときの円換算額をそのまま期末時の円換算額とする方法( =特段処理は不要) |
期末時換算法 | 期末時の外国為替の売買相場により円換算した額を期末時の円換算額とする方法( =毎期洗替の処理が必要) |
いずれにするかは、法人が一定の期間内に届出をすることにより、外貨の種類等ごと選定することができます。選定しなかった場合には、 次の区分に応じた法定の期末換算方法によることとなります。
区分 | 法定期末換算方法 |
---|---|
満期日が当該事業年度終了の日の翌日から1年を経過した日の前日までに到来するもの |
期末時換算法 |
上記以外 | 発生時換算法 |
(2) 例外
外国為替の売買相場(以下、為替相場)が著しく変動した場合には、外貨預金の取得を期末に行ったものとみなして期末換算を行うことができます。
この場合の “著しく変動した場合”とは、次の算式により計算した割合がおおむね15%相当以上とされています。
期末時の為替相場により 期末時の外貨預金の
換算した外貨預金の円換算額(A) - 帳簿価額(B)
(A)
この場合、外貨の種類を同じくする他の外貨建ての資産等について、複数15%相当以上となる場合には、一部のみの適用は認められないなどの留意点があるため、適用には注意が必要となります。
特に発生時換算法を選定しており、例外が適用できる割合が生じている試算結果となった場合には、例外を用いたと仮定したときに自社の所得にどのような影響を及ぼすか、確認しておきましょう。